エイプリルフール記事

今日は世界一斉エイプリルフール。
ネット上でもあちらこちらでエイプリルフール用のウソ記事やウソページが表示されている。
初めて見たときにはそれなりに新鮮だったんだけど、最近どうにもしらけた気分になってしまう。
この違和感はどこからくるんだろうと考えたんだけど、これらの記事やサイトが「ウソ」じゃないからなんじゃないかと思う。
ウソの反対はホントで、これらの記事はホントのことじゃないからウソなんだと言われるとまあそうなのかもしれない。
でも僕の感覚だと、「ウソ」というものには悪意がなければならないと思う。
悪意には人を騙してやろう、害してやろうという大きな悪意もあれば、ちょっと驚かせてやろうというくらいの小さな悪意もある。
でも、悪意がまったくないものはウソじゃあなくて単なる作り話な気がする。
エイプリルフール用のウソ記事なんかは、「このために準備した作り話ですよ」と初めからラベルが貼ってある気がして、そこの部分がなんかしらけてる感じだ。

あなたのおかげで35年

ミスタードーナツが35周年記念でコーヒーカップを配ってる。
ので、昼休みに抜け出してドーナツ買いに行ったわけですよ。
そしたらすんげえ並んでるの。
15人くらいだったかなあ。
売り子の習熟度が低すぎて、カウンターに3人もついてるのに15人捌くのに20分もかかってた。
それにしてもけっこう驚いたのは、20分も並んでたくせに自分の番になってから「どれにしようかなあ」とか考えてるやつが多いことだ。
こいつらパイプライン最適化のことなんか考えたことないのか?ないだろうなあ。

遺伝子の欠陥が自動的に修復される?

メンデルの法則を覆す研究結果、米国の科学者チームが発表
本文から引用させてもらうと、

今回行なわれた実験でパーデュー大学の科学者たちは、シロイヌナズナにおける「ホットヘッド」(hothead)と呼ばれる突然変異の遺伝について、必ずしも古典的な遺伝法則が当てはまらないことを発見した。ともに突然変異遺伝子を2つ持っていて奇形の花をつける両親から生じた子の世代の10%が、奇形の花ではなく、祖父母あるいはそれ以前の世代と同じように、正常な白い花をつけたのだ。
 ホットヘッド遺伝子を持っているのに正常な花をつけたシロイヌナズナは、祖父母以前の世代から受け継いだ遺伝情報をどこかに保持していて、これを正常な生育の鋳型として使ったと見られている。

ということらしい。
どうにもこれがうさんくさい。
遺伝情報が壊れていて奇形になっているものをなんらかの方法で自動的に修復するとしたら、そのためにはかなりの冗長度と多数決のメカニズムが必要になる。
まあそこは実装されているとしてもいいが。


そもそもメンデルの法則は常に真実であると信じられてきたのか。
例えばメンデルの3つの法則の1つ「独立の法則」。
これは例えば「えんどう豆の「まる・しわ」と「緑葉・黄葉」のような形質は完全に独立してあわられる」というものだ。
メンデルは遺伝子と染色体というものを知らなかったので、これらの形質を支配するそれぞれ独立した要素があると考えていたわけだ。
実際には同一染色体上の複数の遺伝子は組になったままで子孫に伝えられる確率が高いから、特定の形質の間には相関が見られることは当然ある。
ほかにも、複数の遺伝子が相互に作用し合うような複数対立遺伝子によって形質の発現が左右されるような時には当然メンデルの法則はそのままには当てはまらない場合がある。


もちろん、これらの反例はオリジナルのメンデルの法則には反するがそれはメンデルの考えが根本的に誤っていたということではない。
形質を左右する要素が2個1対になって両親から半分づつ伝えられ、相互の優先順位によって発現形質が左右されるというアイデアそのものはまったくその通りである。
ただ、場合分けが思っていたほど単純ではなかったというだけのことだ。
いずれにせよ、厳密な意味ではメンデルの法則は絶対の真理として信じられているわけではない。


では今回の発表はどうなのか。

彼らの主張によれば「欠陥のある遺伝子を受け継いでも、その遺伝情報を修正して、それ以前の世代と同じように正常に発育する場合がある」のを確かめるために「突然変異遺伝子を2つ持っていて奇形の花をつける両親」の純系を使って実験をした。
ところで彼らはどのようにして純系(この場合、突然変異遺伝子を二組持つ個体)を識別したのだろうか。
普通は純系の識別は第一世代の子孫(F1)を見て行うと思うのだが、彼らの主張によれば突然変異遺伝子の純系同士を高配しても正常な個体が出来てしまう。
すると純系でもそうでなくてもF1に正常個体が混ざってしまうので、F1を観察することでは純系の識別が出来ないことになってしまう。
他にどうやって純系を識別できるかと言うと、これはもう遺伝子を直接同定するしかない、んじゃないかなあ。
最初読んだときに、彼らは遺伝子そのものの同定に成功していないかのように思ってしまったんだけど、いま読み返したら、彼らが同定できてないのは遺伝子修復に関与する遺伝子のことみたいね。
うーん。
じゃあやっぱりこのホットヘッド遺伝子そのものは同定されてるのかなあ。
「この人たちの主張通りだと純系の選別自体が出来ないから実験自体無理じゃん」って書こうかと思ってたんだけど、なんか尻すぼみになっちゃった。
とりあえずこのケースに関しては、複数対立遺伝子の考え方でも説明できるのは間違いないですが。


えー、続報を待ちます。
そのうち日経サイエンスとかに詳しい話が載るでしょう。

ロト6に攻略法はあるか

このあいだのロト6攻略法に関して「実際に攻略法でたくさんの人が当たっているのだから、わりと完全に乱数とは言えないのではないか」というようなコメントをいただいた。(ぼくが読み違えてたらすみません。)

実際に、第230回は攻略法に従って1等を当てた人が167人いたわけだ。
167人もの人が当てたのだからこの攻略法には根拠があるのではと思ってしまう人も多いかと思うが、実はこの結果は特に「ロト6の番号は乱数である」ということと矛盾しない。
なぜかというと、ロト6の一回の抽選での各々の当選は独立試行ではないからだ。


話を簡単にするために次のようなゲームを考えよう。

  • 千人が1ゲーム100円払って参加する
  • 賭けは1から100までが等確率で出るサイコロを振ることによって行い、どの目が出るかに賭ける
  • 参加料の全額を、当たった人が山分けする

このゲームは自然な状態では1から100までにだいたい10人づつが賭けることになる。
当選の確率は理想的には1%で、当たったときの受け取り額はほぼ1万円となる。また典型的には当選者は毎回10人前後になる。
ここでだれかが「オレは攻略法を考え出した。次回の数字は1だ」と言い、100人近くの人がこれを信じたとする。
100人は"攻略法"にしたがって1に賭け、残りの900人は1から100までの数字に9人づつ賭ける。
このとき実際にサイコロの目が1になる確率は"攻略法"とは無関係に100分の1のままだが、たまたま1が出たときの当選者の数は109人(攻略法による100人と適当に賭けた9人)になり、受け取り額は千円弱まで落ちる。
つまりこの場合、攻略法にしたがうことで当たった人数が多いということは「攻略法によって当たる確率が高くなる」ことを表しているわけではなく、「攻略法によって同じ番号に賭ける人が増える」ということを表しているだけなのだ。
第230回ではこのようなことが起こったという可能性は十分にある。
とはいえこれだけでは「ロト6がランダムでも230回のようなことは十分に起こる」ということが言えるだけで、「ロト6はランダムである」ということにはならない。


ではロト6はランダムなのだろうか。
絶対にランダムだと言い切ることは原理的にできないので(というか、そもそもランダムとはなにかということ自体が定義できないので)、ある程度の考察に留まるがそこはご勘弁。
まずは過去の当選番号をロト6のサイトから持って来る。
第230回までの当選数字をカウントして分布を調べると、1から43の数字の出現頻度は次のようになった。(横軸が当選数字、縦軸が出現回数)

平均32.09回、標準偏差26.22だ。
24が17回しか出ていなかったり30が45回も出ていたりするので偏りがあると感じる人もいるかもしれないが、サンプル数が1380しかないものを43個に分けているのでこの程度の偏りはしょうがないのだ。
ためしにVBの乱数を使って1380個の数値を生成してみたらこのようになった。

平均は当然同じだが、標準偏差は65.04になった。
つまりロト6の当選数字はかなりばらつきが少なく均一である。

また例えばロト6の数字がランダムだとすると、2^6=64回に1回は全ての数字が下半分に集まり、同じくらいの頻度で全ての数字が上半分に集まるはずだ。
実際に全ての数字が下半分に集まっているのは230回中3回、上半分は5回なので、ここを見てもロト6は比較的ばらつきの少ない乱数のように振舞っている。


普通はここで乱数らしさを測るために当選数字の系列に対してさまざまな検定を行うのだが、ロト6は6個づつの組になって並べ替えが行われているのでどうにもやりにくい。
また各種の攻略法の中には直前ではなく数回前との相関が強いという主張のものもあり、ここまで含めた相関を否定していくのは容易ではない。
そこで、ちょっと別のアプローチをしてみる。


230回で当選した攻略法は、過去の当選数字を斜めに拾っていくと言うものだった。
この方法を実践した場合、これまでにどれくらい当たっているのだろうか。
 攻略法その0:過去の当たり番号の表をN回前の本数字1、N−1回前の本数字2、、、N−5回前の本数字6、と過去の当選数字の表を斜めに拾う。(230回の一等の攻略法)
 結果:1等1回、2等0回、3等1回

驚いたことに、「知る人ぞ知る攻略法」であるはずのこの方法で、過去のいずれかの時点の当選番号を斜めに取っていった場合、第230回が初めての一等当選なのだ。そして、2等は一度も当たっておらず、3等が一度だけ当たっている。
つまりこの方法は、攻略法として認知されているにも関わらず、過去の実績はゼロに近いのである。
では、次に僕が考えたデタラメな攻略法をいくつか同じ方法で試してみる。

攻略法その1:過去の当たり番号の表をN回前の本数字6、N−1回前の本数字5、と230回の攻略法と逆向きに拾う
 結果:1等0回、2等0回、3等5回

3等の当選回数が一気に上がった。この攻略法は229回の時点では攻略法0よりはるかに「いい攻略法」であったということになる。
攻略法その2:過去のある回の当たり番号の最初の3個とその2回あとの当選番号の後ろ3個を選ぶ。
 結果:1等0回、2等0回、3等7回

3等の当選回数がさらに上がった。
もっと「いい攻略法」だって作れる。
攻略法その3:過去のある回の当たり番号の最初の数字に2を足し、2番目の数字に3を足し、、、6番目の数字に7を足したものを選ぶ。ただし43より大きくなったものは43で割ったあまりを使う
 結果:1等1回、2等0回、3等2回

過去の数字との差を取るなどしてむりやりこじつければ、1等が2回も当たるような攻略法でも容易に作れる。


つまりなにが言いたいのかと言うと、たった230回のサンプルでどの攻略法が有効かといった議論をすることにはなんの意味も無いということだ。
実際に攻略法と言うものはあるのかもしれないしないのかもしれない。
ロト6の数字はランダムであるかもしれないしそうでないかもしれない。
いずれにせよ、たった230回しか行われていないものの中にむりやり過去との相関を見つけることは可能だし、いくらでも都合のよい攻略法を作ることも可能だ。
しかし現在までのところ、適当に数字を選ぶのに比べて有意に効果的な攻略法は無いようだ。

立体駐車場

通勤経路の途中にあるショッピングセンターに立体駐車場がついている。
今日の帰りに立ち寄ったんだけど、最近改装したばっかりなんでけっこう混んでいたので6階建ての5階に停めることになった。
買い物を済ませて出て行こうとしたが、出口に向かう螺旋は6階から降りてくる車でびっしり埋まっていた。
5階から出て行く車もそこそこに列を作っていて、合流地点ではお行儀よく一台づつ交互に合流していった。
僕も合流して降りていったのだが、4階のところでさらに一台づつ交互に合流した。
このペースでだと6階の車が駐車場から出られるのは駐車場全体から出て行く車32台あたり一台ということになる。
5階から合流した僕も同じだ。
つまりこの交互に合流と言うのは公平性の点で間違っているので、4階から入る車は2台ごとに1台、3階からの車は3台ごとに1台、というふうにやっていけばどの階から出てくる車も出るまでの所要時間が比較的公平になるはずだ。
などと考えていたのだが、実際には2階と1階から合流してくる車は無かった。
もしかして1,2階あたりに停めてる人はゆっくりご飯とか食べてるんだろうか。

朝のコーヒー

休日はいつも一杯の薫り高いコーヒーから始まる。
ここ数年はドラッグストアで安売りしているマキシムかザ・ブレンドナンバー117を愛飲している。
ゴールドブレンドとか高いもん。


一人暮らしでガスで一杯分のお湯を沸かすのがめんどくさいので、もっぱら電子レンジを使っている。
マグカップクリンスイから出てくる最高級水道水を入れ、この時期ならだいたい2分30秒加熱すると丁度いい温度になる。
時々出かける前で一杯もいらないと思うときがあり、そういう時は水を半分入れてレンジにかけるのだが、半分だからレンジのタイマーも1分10秒くらいに設定している。
ちょっと前から思っていたのだが、半分くらいで沸かしたときはだいたいお湯の温度が低く感じる。
インスタントコーヒーもうまく溶けないことが多いし。
そんな風に感じながらもずーっと深く考えたことが無かったのだが、ふとひらめいた。
いままで僕はレンジで水を温めていると思っていたが、実際には水の入ったマグカップを丸ごと温めているのだ。
水を減らしてもカップは減らないので、温め時間を単に半分にすると割合としてカップを温めるのに使われるエネルギーが多くなってしまうはずだ。
ということで、さっそくカップの重量を測ってみた。
 愛用のマグカップ: 260g
けっこう重いな。
これに水を入れてみると、
 愛用のマグカップ+水: 490g
だったので、だいたい230gの水が入っていることになる。
あちらこちらの資料によると陶器の比熱は0.25くらいらしいので、260gのカップの熱容量は65gの水とほぼ等しいことになる。(言うまでも無く水の比熱はほぼ1)
つまりマグカップ一杯の水はマグカップ込みでだいたい295gの水に相当する
仮にこの水を半分にすると、マグカップの部分は変化しないのでトータルの熱容量は180gの水相当になる。
一杯の水を2分30秒で温めるとちょうどいいとする。
 2.5分 x (180/295) = 1.53分
なので、マグカップ半分の水を同じだけ温めるにはだいたい1分30秒強の加熱時間が必要になる計算だ。


さて、さっそく水を半分いれたマグカップを1分30秒加熱してみた。
あれれ?
なんかまだ冷たいな。
不思議に思いながら念のため水を半分入れたマグカップを量りに乗せてみたら、なんと420gもあった。
目分量ってあてにならないもんだなあ。

ロト6の買い方

ZAKZAKで見かけた記事。
 ロト6で珍事…当たる?「有名な買い方」公開
当たり前だと思う人には当たり前のことだけど、ロト6の数字の選び方には必勝法とまではいかないが期待値を上げる方法が存在する。
これは自分で数字を選ぶことができるくじに限定の方法で、普通の宝くじなどには通用しない。
その方法とは、世の中にあるロト6の全ての攻略法に逆らうことだ。
ロト6の当選番号はランダムに選ばれている(と信じているのだが)のでどの番号でも当たる確率は一様だ。
極端な話、「1,2,3,4,5,6」の6個でも当たる確率が低くなるということはない。
よく言われるギャンブラーの錯誤の問題だ。
当たる確率はすべての組み合わせに一様でコントロールすることが出来ないとしたら、当たったときの当選金額が高くなるようにすることが期待値を上げることになる。
ロトの当選金額は同じ番号を選んだ人たちで山分けするわけだから、他の人が選ばない番号を選ぶということが重要になる。
世の中に存在する攻略法に従った番号はだれかしらが買っている可能性が高いので、これらの番号を避けることで当たったときに当選金額を独り占めできる確率が上がることになる。
今回のケースでも、攻略法の通りに買った人は損をしていることが分かる。


おまけだが、「全ての攻略法に逆らって番号を選ぶ」という攻略法は存在しうるだろうか。
これがつまりラッセルのパラドックス