浮気をした夫が殺される村(2)

以下は今日の昼に書いたものだけど、やっぱりうまく整理できてない気がするのでとりあえず畳んでおく。
消すのはずるい気がするので残しておくけど、読んでもあんまり意味が無いと思います。


ここから昼に書いたぶん。
前回の最後で「ちょっと納得の行っていない部分がある」って書いたけど、違和感の正体が整理できた。
今回は解決までは出来ないけど、とりあえずここまでで考えたことをまとめておく。

まず、(僕の中では)解決済みというか僕としては気にならなかったけど気にする人は気にしそうなことについて。
ふたばでも何人かの人が指摘しているけど

  • 女王が「少なくとも1人の男が不貞を働いている」と宣言する前からそんなことは誰でも知っている

という点。
これは問題文の作り方に若干不備があっただけだと思う。
この問題の本質的なところは女達がどのような思考過程で自分の夫の不貞に気づくかという点で、女王は思考開始の合図を出すだけだ。
つまりこの問題は論理パズルの問題としてはこう作り変えてもいい

50組の夫婦がいる村があります。その村の夫は全員不貞を働いています。村の女は自分の夫以外の男が不貞を働けば、即座にそれが分かります。しかし、自分の夫が不貞を働いても、それを知ることができません。
ある日、女王がこの村を訪れ、「自分の夫が不貞を働いていたことに気がづいた女は、その夫をその日のうちに殺さなければなりません。」という掟を宣言した。
(以下略)

では次に僕が気にしてること。
えーと、前回の証明なんだけど、数学的帰納法のスタート地点として「不貞を働いている男が1人の場合」というのを考えるのは妥当なのか、というところ。
浮気男が1人しかいなかったら1日目に殺されるというのは間違いないけど、じゃあ複数の浮気男がいるときに1日目に起こる判断としてはこの仮定は妥当じゃないんじゃないだろうかということだ。
なぜ妥当じゃないかと言うと、ここで数学的帰納法の各ステップで増やしていくべきものは、村の夫婦の組数・浮気している男の人数・経過した日数の3つあって、そこがうまく整理されていないので誤った推論になっている気がする。
うーん、うまく説明できてない気がするな。
もうちょっと具体的にやってみよう。
数学的帰納法は1なら2、2なら3、3なら4というステップのある種の省略記法だから、各ステップを全て書き下してしまうことにする。
念のため断わりを入れておくと、以下の例で全ての女達は村に少なくとも1人の浮気男がいることを知っており、また他の女もそのことを知っていることを知っているとする。
また、夫婦は全部で4組とし、それぞれの夫婦と男・女を夫婦1,2,3,4、男・女1,2,3,4と呼ぶ。
ケース1.浮気男が1人の場合: このとき、浮気している男は初日に殺される。
理由は自分の夫以外の浮気をまったく知らない女は、唯一の浮気男が自分の夫であることにただちに気がつくからだ。比較的自明
ケース2.浮気男が2人の場合: 男1と男2が浮気しているとする。女1と女2は自分の夫以外に浮気している男が1人だけ見えている。ケース1の仮定から1日目が終わった時点で自分の夫の浮気を知る
ケース3.浮気男が3人の場合: 男1、男2、男3が浮気しているとする。このとき自分が女1ならこう考える
女1「私の夫が浮気をしていないとしたら、女2、および女3にとっての状況はケース4−2のようになる。したがって女2と女3が2日目に夫を殺すかどうかを見届ければ自分の夫が浮気しているかどうかが分かる」
これはもっともらしいし実際このとおりになるんだけど、このときの思考過程をもう少し詳細に見てみる。
ケース3のつづき: 女1「私の夫が浮気をしていないとしたら、例えば女2から見ると浮気をしている男は1人しか見えてないことになる。したがって女2は女3の初日の行動を見て自分の夫が浮気しているかを判断できるはずだ。つまり女2(または女3)の2日目の行動で私は自分の夫が浮気しているかを判断できる」
ここでのポイントは、自分の夫が浮気していないと仮定するなら、女2と女3は初日にケース1に立ち返って判断が行えるという点だ。
この仮定の部分がすごく引っかかる。
女1にとっての状況は一覧にするとこうなっている
 男1 男2 男3 男4 
 ?? 浮気 浮気 無罪
このケースでは「自分の夫が浮気していないなら」と仮定してみることで選択肢を絞っているのだ。つまり
 男1 男2 男3 男4 
 無罪 浮気 浮気 無罪 ・・・仮定1
もし仮定1が成り立つなら女2の視点からはこう見えているはずである
 男1 男2 男3 男4 
 無罪 ?? 浮気 無罪 ・・・仮定1での女2の視点
女2が第一日目が終わってから判断を行えるのは、状況がケース1に還元できるから、つまり、「自分以外に浮気している男を1人だけ知っている」からである。
じゃあ最後のケース
ケース4.男は全員浮気している場合: 
このとき女1の視点は
 男1 男2 男3 男4 
 ?? 浮気 浮気 浮気
であるので、自分の夫が浮気していないことを仮定すれば
 男1 男2 男3 男4 
 無罪 浮気 浮気 浮気・・・仮定2
このときの女2の視点は
 男1 男2 男3 男4 
 無罪 ?? 浮気 浮気・・・仮定2での女2の視点
なので、女2は以下の仮定を行うはずである
 男1 男2 男3 男4 
 無罪 無罪 浮気 浮気・・・仮定2での女2の仮定(仮定3)
このときさらに一日前に戻ってみると、女3は以下の仮定を行うはずである
 男1 男2 男3 男4 
 無罪 無罪 無罪 浮気・・・仮定3での女3の仮定(仮定4)
ここに問題が発生する、と思う。女1は女2の夫が浮気していることを知っている。ということは女3がこのような仮定を行うことは絶対にないということが自明なのではないか。
そして、起こりえない仮定を前提としても推論は行えないのではないか。
とすると、数学的帰納法のステップを遡っていっても最終的にケース1、すなわち「浮気している男が1人しか見えていない女の視点」に還元することが出来ないのではないだろうか。
ここまで書いてふたばを再読み込みしたら、30分ほど前に

結局、この方法では3人までが限度で、4人以上は推論不可能ではないかと(自分以外に赤い帽子があってもよいならそこで推論が止まってしまうので)

という書き込みがあった。
ムダに長々と説明してきたけど、結論として僕が言いたいのもまさにこれ。
出来ないなら出来ないということがきちんと証明できるといいのだけれど、ちょっとやそっとじゃどうにもならなそうなのでとりあえずここで一旦終了