住基ネットは絶対安全です

アキバblogさんを読んでいたらこんな記事に出会った。
 「神聖不可侵」の住基ネット侵入実験の専門家発表を、総務省が止めさせた理由は「脆弱性隠しが目的」らしい
リンクを辿るとこんな記事も
 住基ネット:講演中止 後援の総務省が注文付け
 住基ネット侵入実験者の発表が中止に 総務省が難色


どうやら11月12日東京都中央区で国際技術セミナーpacsec.jp/core04というのが行われたようだ。その時に公演する予定だったイジョビ・ヌーワーさんという人がいて、この人が自分も参加した長野県での住基ネットの安全確認実験に関して技術報告しようとしたところ総務省から圧力がかかって中止になったということらしい。
pacsec.jp/core04の公式サイトを見ても、公演者一覧からもちゃんと削除されている。
この件に関する公式コメントの全文を発見できないのだが、総務省としては

住基ネットと庁内LANを混同している。脆弱(ぜいじゃく)性を具体的に示すおそれがある」などと修正を求めたが、調整がつかなかったという。「内容は総務省が後援している以上、適当でなかった」としている

ようだ。
一方のイジョビ・ヌーワーさんの言い分は、本人のブログによると

The Japanese government gave me two options.

1) Do not talk
2) Drastically change your slides to say what they want me to.

中略

Soumushou's reason for forbidding me to speak was this "Since we are endorsing the convention we have to right to tell you not to speak"

何もしゃべらないか総務省の意向どおりの発言をするかどっちか選べ。総務省がスポンサーの会議では総務省は発言内容を規制する権利があると言われたということだ。
これは酷いな。
どっちの言い分がニュアンス的に正しいかはともかく、総務省が公演内容に口をはさもうとしたのは間違いないっぽい。


ちなみに、長野での安全実証実験はどうやら庁内LANに接続した端末からの侵入を試みたものらしく、総務省のウェブサイトでの公式のコメントを見ると、どうやら

住基ネットと接続している市町村の庁内LANがインターネットと物理的につながっていても、ファイヤーフォールの適切な設定、管理を通じてセキュリティを確保できることは明らかである。

と考えているらしい。
外部からの侵入さえ食い止めれば庁内LANのセキュリティなんか関係ない、というかなり思い切った発言だ。
お話になりません。
総務省が言っていることは、

  • 庁舎に出入りする人が全てセキュリティや個人情報の重要性を理解していて
  • 庁舎自体は絶対に侵入不可能で
  • firewallは100%適切にメンテナンスされている

ならば住基ネットは安全だということなので、こんなことが実現不可能なのは中学生でも分かる。

イジョビ・ヌーワーさんもプレゼンテーションの中で複数の点における誤用とかIDSとFirewallは解答ではないとか書いてるがまったくそのとおりだ。


僕は個人情報なんかヘとも思ってないが、こうやって事実を隠してればなんとかなるだろうという姿勢が腹立たしい。
再びイジョビ・ヌーワーさんの言葉を借りると

Soumushou thinks that they can hide from the issues. They think that if they keep people from speaking about the issues, it will go away.
総務省は問題から逃げつづけることが出来ると思っているようだ。彼らはだれもこの件について話をしないように禁止しつづければ、そのうち問題自体が消えてなくなると考えているのだ。

ほんと困ったもんだ。
こんな役にも立たないたいそうなゴミを作って無駄金をドブにすてて全国民に損害を与えたことにはっきりした責任者もいないなんてねえ。
まあ選挙にすら行ってない僕が責任者なんですけどね。