ブラインドタッチができる人はダメ

以下の記事が先週やじうまWatchで紹介されてからあちらこちらで話題になっていた。
 エエッ! パソコンのブラインドタッチは脳に良くない
 エエッ! パソコンのブラインドタッチは脳に良くない
記事の内容的にも

パソコンでブラインドタッチができる人はダメ。電車の中でしょっちゅう携帯電話を見ている人も要注意だというのだ。

などと書いてあって、まるでブラインドタッチをすればするほどどんどん頭が悪くなっていくかのような印象だ。
これは現在発売中の図解 脳を鍛えてお金とツキを呼ぶ金運ノートからの内容らしい。


これはけっこうネット上でも反響があったみたいで、何百ものブログがこの記事を取り上げている
この記事だけ読んだ時点で僕は正直、「また森昭雄みたいな電波なオヤジか」と思った。
それから気にはなっていたんだけどどうも本の内容がよく分からないので読んでからにしようと思っていて、ついに今日の帰りに立ち寄った本屋で実物を見かけることができた。


まず全体的な内容だけど、別に「ゲーム脳の恐怖」みたいな電波本では全然なかった。
な〜んだ〜!期待はずれ〜!(´ー`)
内容はものすごくまとめてしまうと、「ダラダラ生きてるとどんどんダメになる。成功したければ工夫して生きよう」というような感じだ。
ブラインドタッチに関しては「脳を活性化するには新しい刺激を与えるのがよい」という話のところで一例として「キーボードも打ち始めは頭と指先を総動員するが、ブラインドタッチができるようになるともう脳への刺激にはならない」という程度の書き方がしてあるだけである。100ページの本の中でほんの10行ばかりの記述だ。脳のブローカ野への血流についても、「ブラインドタッチをすると血流が止まる」のではなく、「ブラインドタッチができるようになってくるとキーボード操作では血流が促進されなくなってくる」というような書き方がしてある。
つまりこの大島清さんが言わんとしている事は、「ブラインドタッチができる人はダメ」というような無茶なことではなく、「ブラインドタッチ(あるいは慣れ親しんだ動作)はあまり脳への刺激にならない」という比較的当たり前のことのようだ。
また、大島清さんは手書きで字を書くと漢字の書き方を思い出そうとしたりするのが脳への刺激になると言っていた。
そういう言い方をされたら、"なんでいまさら"レベルの当たり前なことだよなあ。


とは言え、ブラインドタッチでキーボード打つより手書きのほうがいいからって言われてはいそうですかというわけにも行かない。
キーボードを打つのは手書きより圧倒的に効率がいいし、PCに打ち込まれた文は手書きのものよりはるかに価値がある。(例外はもちろんあるだろうが)

それに、大島清さんは手書きとブラインドタッチという行為だけを比べているから手書きのほうが脳に刺激を与えられると言っているワケだが、僕が仕事上キーボードを叩いているときは仕事上の判断を行いながらやっているので脳への刺激はトータルでそんなに少ないとは思えない。
掛け算を紙の上で筆算でやるほうが電卓を使うよりは頭を使うだろうが、電卓を使っている人は物理学の複雑な問題に対処しようとしているのかもしれないのだ。
手元に見えている動作だけでその人がどれくらい脳を働かせているかを比較するのはちょっと無理がある。


ところでこの大島清さんはわりと多数の著作があるようだが、どれもこれも似たようなものばっかりだ。
反復動作が脳に刺激を与えられないとしたら、この大島さんの脳も刺激を受けなくなってからけっこう長いかもしれませんね。