クリスマスケーキのご予約はお済みですか

街はすっかりクリスマスなのでどこもかしこもクリスマスの買い物を迫ってくる。
コンビニで買い物をしていると店内の放送で「クリスマスケーキのご予約はもうお済ですか?」なんて言ってくるわけだ。
人間は質問をされたときに、無意識に質問の文脈を判断して質問者の意図に沿った回答を準備する。
「ご飯とパンとどっちが好き?」と聞かれたときに「うどん!」なんて答えるのはひねくれものなので、普通はご飯かパンかを答えるものだ。
同様に「クリスマスケーキのご予約はもうお済ですか?」と聞かれた場合、聞かれた人は予約を「もうした」か「まだしてない」かを考える。
この質問のうまいところは「クリスマスケーキを買うつもりが有るか無いか」という段階をスキップしているところだ。
ここで買うことはもう前提になっている。
実際にこの質問を受けても「買うつもりは無い」と答えてしまう人も多数いるわけだが、少なくとも買うか買わないか微妙なボーダーライン上にいる人は買うほうに転んでしまうかもしれない。


このように質問をうまく選ぶことで、相手に選ばせているようで実は選択肢を与えないというのが有効な場面というのは多々ある。
ビジネスプロセスの決定などで相手に先制して選択肢を限定してしまうと、自分が避けたいと思っている選択肢を潰してしまうことができる。しかも相手は自分が決断を下したと思っているので顔も立つ。
女の子をデートに誘うときも、「行くか行かないか」の段階をすっとばして「いつ行くか」に持っていけば鈍い女の子は騙されているのに気がつかないかもしれない。


ということで職場の女の子に試してみる。
「わたし牛丼屋さんって入ったこと無いんですよ〜」
 「じゃあ行ってみよう。明日とあさってどっちがヒマ?」
「えーっ、行きませんよ〜」
どっちがヒマか聞いてるんだよ!
この子は文脈を判断する能力に若干の問題があったようだ。