運がいいとき悪いとき

「あの人は不幸の星の元に生まれた」というような言い方がある。
運と言う人間にはどうしようもないものがあっていいことも悪いことも運に支配されていると(程度の差はあれ)考えている人はかなり多い。あるいは大多数の人が信じているかもしれない。
僕は当然のことながらこんなものはまったく信じていないし、僕が信じる信じないに関わらず運などと言うものは無い。
「でもいいことや悪いことは重なるではないか。いいことや悪いことが本当にランダムなら同じ人や同じ期間に集中しないでもっとバラけるはずだ」という主張があるかもしれないがそんなことはない。


いいことや悪いことが集中して起こる理由は僕がいまパッと思いつく限りで3つある。
まず
理由1.受け取り方の問題だから
よく言われることだが、コップに半分の水を見て「半分入っている」と思うか「半分カラ」だと思うかということだ。
悪いことが起きたときには気分がネガティブになっているからなんでも悪く考える。
次に
理由2.一つの原因から起こる複数の結果だから
なにかが起こるときには必ず原因がある。いいことも悪いことも原因は本人にある場合が多いし、本人のそばになにか別の原因があるかもしれない。
結果が原因の周辺に集まるのは当然だ。
そして最後に
理由3.ラムゼー理論
グラフ理論ではラムゼーの定理と呼ばれるものがある。
大雑把に言って「人が6人集まればその内の3人は全員が知り合いであるかまたは3人はお互いをまったく知らないかのどちらかである」というような話だ。
これはある集合に特定の条件を満たす部分集合が存在することを示している。
特定の集団の男女全員が自分の好きな相手と結婚することは可能か、という安定結婚問題なんかで出てくることが多い。
これをさらに一般化したものがラムゼー理論だ。
っていうかラムゼイ理論だと思ってたんでグーグルで引いても出てこないなあとか思っちゃいましたよ。もう!バカ!


ラムゼー理論と言うのは「ある集団が十分に大きければ、その集団の要素にはある種の秩序(つまりある条件を備えた部分集合)が必然的に生まれる」ということを数学的にきちんと定式化したものだ。
なぜ秩序というかかたまりが生まれるかというと、全てが均一になる可能性のほうが圧倒的に低いからである。
例えばサイコロを6回振って1から6までが一回づつ出るなんてことはめったに起こらないと考えると感覚的に理解できると思う。
ちなみに実際に1から6が一回づつ出る確率はわずか1.5%だ。
それに比べて同じ目が3回出る確率は30%もある。
つまり例えば「空の星が均一でなく星座のように部分的に集合した形で散らばっている」とか「悪いことが連続して起こる」などは全て必然であるということになる。
逆に「悪いことがきちんと定期的に起こる」という状態は非常に起こりにくいということだ。


運というのは常に結果に対しての説明でしかない。
運がいいからいいことが起こるのではなく、いいことがあったから運がいいと言われるのだ。
そしていいことも悪いことも続けて起こるのは必然なのだ。