電磁波の影響で女の子が生まれる、のか?(2)

前回は世間で言われている電磁波の話とはちょっとずれている気がしてきたのでもう少し考えてみる。

電磁波とひと言で言ってしまうと、家電品や送電線などから出る低周波、携帯電話やテレビ放送に使われる高周波、可視光、X線ガンマ線まで全部含んでしまう。
こないだは核磁気物理学施設なんかの例を出したけど、ここで気にされてるのはX線周波数の高いものなんだろうなと思う。
じゃあ一般に「電磁波を浴びると女の子が生まれやすい」という話で問題になってるのはどのあたりなんだろ。
話してる人の大半は意識してないと思うけど、PCのモニタなんかの話だとやっぱり低周波なんだろうな。
ときどきは携帯電話とかの電磁波も考えてる人がいるかもしれない。
頑張って探してみたけどどうも低周波に関してはデータが出てこないんで、とりあえず携帯電話・テレビ放送あたりで見つけたものを少し補足しておく。

電磁波のリスクを考えるために −携帯電話と東京タワー
やはり携帯電話とテレビ放送はだいたい同じ仲間と捕らえられていて、携帯電話で今後予想される健康被害を東京タワー周辺の実績から類推しようという試みらしい。
この中で、
 >そしてその地区での1959年〜1997年の累計出生数を男女で比較すると、
 >麻布地区で[男/女]=1.0308となり、全国平均と比べると女子が生まれる比率
 >が高いことが統計的に有意に示されることが分かった(全国出生総数での
 >平均は1973年〜1997年では1.066
とある。
つまり東京タワーの電波を受けている人たちは女の子を産みやすいかもしれないということだ。
これは一見するといいデータみたいだけど、交絡因子の分離が難しいので直接の因果関係かどうかはっきりしない。
例えばこれがこんな言い方だったらどうだろう。

 東京タワーの電磁波の影響の強い麻布地区では世帯収入が全国平均を12%上回っていることが分かった

12%というのは適当だが、世帯収入が全国平均より高いのは間違いないと思う。
でもこれを見て電磁波を浴びると収入が増えると思う人はいないだろう。
麻布の人は都会に住んでいるから収入が高いだけだ。
同様に麻布で女の子が生まれやすいのは電磁波以外の原因があるかもしれない。

もっといいサンプルは無いだろうか。
と思っていたんだけど、この周波帯で一番いいサンプルはきっとこれだ。
一般人口統計
これはひどいURLですね。
まあそれはさておき、携帯電話がここ10年で爆発的に普及していることを考えると、携帯電話の電磁波に出生への影響があるとしたらそれは日本全体の統計に現れるはず。
と思って見てみたが、20才くらいまでだと男女比に差が無いな。男女比は勝手に追加した。

年齢男(万人)女(万人)女100人あたりの男
0605572105.77
1599569105.27
2598570104.91
3612583104.97
12647616105.03
13675640105.47

これは人口構成比で出生時の男女比じゃないけど、まあだいたい同じデータと見ていいだろう。
統計的にはさっきの1.066という数字から見て若干男の割合が低い。
これが出生の男女比に由来する部分なのか乳児死亡の男女比に由来する部分なのか、または別の原因かはわからない。
でもまあ僕が知りたかったのは「体感できるほどの」差が出るかという部分なんで、このデータでさほどの差は出ないと言ってもよさそうだ。

低周波に関するデータはもうちょっと探してみよう。


おまけ

今回のことを調べているうちに以下のような記述にたどり着いた
 −化学をやっている人のところでは女の子が生まれやすい
 −お茶の味見をやっている人のところでは女の子が生まれやすい
 −ダイバーのところでは女の子が生まれやすい
 −麻酔科医のところでは女の子が生まれやすい
 −パパが呑んべえだと、女の子が生まれやすい
 −若い頃に女遊びをしていると、女の子が生まれやすい
他にもたくさんあったし、逆に男の子が生まれやすいという話もいろいろ見かけた。
この手の話はこれからもどんどん生まれて一人歩きしていくんだろう。

おまけ2

男女の産み分けの方法についての記述をいろいろと目にした。
女の子を希望する場合の方法として比較的支持を得ているのは以下のようなものだった。(まあこれもオカルトだけど)
 −性行為は淡白に短めに
 −挿入は浅く
 −行為中女性側はオルガスムスに達しないようにする
このような性行為の特徴と電磁波を浴びながら仕事をしている人たち(例えばITエンジニア)の間には相関があるかもしれない気がほんのり。